「ビッグ・ヒストリー」

 YouTubeで「ビッグ・ヒストリー」(デービッド・クリスチャン/豪マッコーリー大学教授)の18分講義を見る。U先生宅研究会報告(3月20日分)でも紹介。朝日新聞3月13日付国際面に「歴史、宇宙の起源から学ぶ」のタイトルで大きく掲載されていた。ビル・ゲイツがクリスチャン教授に支援を申し入れて、公開プロジェクトが始まった。
 
 ビッグ・ヒストリーは「大きな歴史」で、時間軸は宇宙誕生から現在まで、歴史、科学、哲学など東西のあらゆる学問を包括している。「人間はどこから来て、どこに向うのか」。クリスチャン教授は「歴史の最終章は未来だ。人間はもっともパワフルな種だが、数百年後、数千年後はどうか」と朝日のインタビューで述べている。
 
 U先生は倫理学者(元東京国際大学教授)で15年前に二人で研究会を始めた時から、「宇宙のビッグバン」から人類の歴史をひもとく必要があると語ってきた。わたしには難解だが、楽しく大学院で学んでいるつもりで聴いてきた(現在は欠席))。メンバーが増えて、10数人になっている。職業が多種多様でそれぞれ独自の見解を語るのが実に良い。
 
今回までの報告から引用。
138億年の宇宙の〈いのち〉の展開の確認】
(1)ピエール・ティヤール・ドシャルダン『人間の現象』(1938/出版は1955
渦動エネルギー(動径エネルギーと接線エネルギーの協働)における宇宙
(人類の歴史的展開においては、動径エネルギーは倫理的展開を導き、接線エネルギーは、それぞれの民族道徳を、同心円的に導き出す。)
(2)クロード・トレモンタン『へブル思想の特質』(1956、邦訳1963)
創造と〈いのち〉の世界vs製作と輪廻の世界の発見
(3) 望月清文『生命の進化と精神の進化』(2004 水曜社)は素粒子における統合エネルギーの延長上に人類における精神の展開を位置づけた。      
(4)中沢弘基『生命誕生地球史から読み解く新しい生命像2014講談社現代新書      (5)ローレンス・クラウス『宇宙が始まる前には何があったのか?』(2013文春/2012原書)
【人類の歴史】
(1)ヤスパース『歴史の期限とその目標』 先史時代・古代高度文化・枢軸時代・科学と技術の時代・地球上の人類の一つの世界
(2)アービン・トフラー『第三の波』:農耕革命・産業革命に続く第三の波としてのIT革命
(3)水野和夫『資本主義の終焉と歴史の危機』(2014)資本にとっての利潤を生むフロンティアの終焉と21世紀の歴史的課題。 
(4)宇沢弘文『社会的共通資本』(2000岩波)資本主義から社会的共通資本へ
(5)トマ・ピケティ『21世紀と資本』:不等式rgの発見
(6) 豪州の高校に始まった・ビッグ・ヒストリーの試み
 (7)私たちの試みの総括と新しい課題