「猫にしつけられてしまった」

   昨日、朝日新聞・読書面の横尾忠則氏が猫を書いた文章にうなずいた。「アーティストが愛した猫」(アリソン・ナスタシ著)の書評。やはり、彼の猫論は彼しか書けない。「私事ながら、昨年タマの死のあと体調に異変をきたしたほど僕にとっては猫は生活必需品であります」。
 
 「猫との共同生活の心得としては上から目線で猫に接するではなく、自らが下僕に甘んじることで初めて共存共栄が許されることを知る必要がある。まず猫の飼い主であるという考え方は放棄しましょう。猫の側からすれば、猫のテリトリー内に人間が間借りしているということを忘れてはなりません。以上。」
 
 わが家にはメス猫とオス猫の室内猫二匹がいる。17歳と16歳で種類は違う。彼らが我が家に来た時には、犬も二匹いたが数年前に死んだ。キャバリアで2回こどもを産み、子犬7匹は血統書をつけて知人に託した。オス犬は俺が大きな手術を受けたときに死んだ。身代わりになってくれた。メス犬は退院後心身ひょろひょろの俺を慰めたあと、俺の目前で死んだ。
 
 
 一方、猫たちはそんなことにはいっさい関心もないし、同情もしてくれない。それぞれが家内の自分が気に入った場所で寝ていて、夕方から動き出す。「食事をくれ」、「ドアを開けろ」、「邪魔をするな」と声を出して命令する。無視しているとやってくれるまでその体勢を続けている。結局、根負けして言うとおりにする。俺は猫に完全にしつけられてしまった。
 
 ホームセンターで売られている子犬や子猫はどれも小さくて可愛かったが、やっぱりほとんど十数万円。ケージの周辺には広いペット用品コーナーがあった。「ペット市場成長の鍵はネコ おもちゃなど急拡大。ペットフード協会の14年調査でもイヌの飼育頭数減少に対し、ネコの飼育頭数は増えており、その市場の拡大がカギ」。先日のSankeiBizにそう書いてあった。