「生活不活発病」の克服(NHKスペシャル)

先週土曜日「NHKスペシャル」の「元気に老いる」に眼を奪われた。「生活不活発病」を「生活活発化」に変えていく大川弥生医師の南三陸町での活動ぶりに心が動かされた。被災して仮設住宅などで何もすることのない老人は体が動かなくなっていく。行動範囲がきょくたんに狭くなったそれらの人々に会話と笑いを取り戻していく取り組み過程だ。
 
鎌田靖キャスターのドキュメンタリーはいつも問題を提起し、解決に向けた希望を示してくれる。震災後に何もすることがなくなり、座ったままや寝たきりの老人たちが大川医師と家族の励ましで歩き始め、自信を取り戻していく。その姿は被災地のみならず高齢者の課題である。体が弱いと自分の可能性を自分で閉じてしまいがちになる。
 
たとえ少しでも社会参加という目標に向かってがんばっていくことで、歩けなくなった人が徐徐に歩けるようになる。新しい友だちができておしゃべりを楽しみ、笑いあう。そのことで「元気に老いる」ことが可能になっていく。一人で部屋にこもっていると、動けなくなっていくことに不安をいだき、無理することを恐れる悪循環を繰り返す。それを逆転させる。
 
 目標(ささやかな社会参加)に向う積極性が衰えた心身機能をふたたび甦らせていくことに、大きな励ましをもらった。「高齢者5~10歳若返り」と日本老年学会で報告された。いずれにしても動くことが心身を変えて、健康長寿を実現していく。さっそく昨日、大川弥生医師の「動かないと人は病む~生活不活発病とはなにか」(講談社現代新書)を買ってきた。