大岡信と谷川俊太郎

 今朝の朝日新聞「文化・文芸」面に「大岡信さんの詩 友情の選集~谷川俊太郎さん編集」とある。闘病中の大岡信(84)の詩の選集『丘のうなじ』(童話屋)を60年来の友人・谷川俊太郎(83)がつくりあげた。50年近く前の二人の写真に見入った。谷川さんは今朝のNHKあさイチ」にも出ていたが、どんな話をしたかは忙しくて聞いていなかった。
 
 大岡はわたしが「詩」に初めて驚いた人だ。「沈丁花のしげみの後ろに小猿がしゃがんでぎゃっぎゃっ 歯をむき出すので 魂がちぎれてしまった・・・」(「声のパノラマ」)。「大岡信詩集」(思潮社、1969年)にある。沈丁花は春、独特の香り空間をつくる。上京して初めての講演会も大岡信の詩論だった。あこがれの人にあがってしまって中味は覚えていない。
 
 谷川の詩には苦い後悔がある。中学校での教育実習の最終日、生徒たちと牛乳で乾杯した。歌を求められたので、谷川の『死んだ男の残したものは』の歌詞を黒板に書き、生徒たちに教えた。自分では反戦歌とは思っていなかった。今、痛恨の極みに思う。あの中二の生徒たちにもっと希望の歌を教えたら良かったのに。彼らも50歳をとうに過ぎたはずだ。