叔父と叔母

 故郷・北海道古平町(ふるびらちょう)の叔父(86)と叔母(78)に電話して、父母の法事に出席してほしいと頼んだ。すでに弟から伝えてあったので、快諾してくれた。母の弟と妹だ。母は6人姉弟の二番目で、叔父は四番目の長男、叔母は末っ子。
 
 母の実家が隣だったのと、弟が年子で生まれたので、わたしはババっ子で育った。叔父や叔母がまだいたので、自分は末っ子のようになっていた。しばしば「隣」から学校に行き、隣で食事し、隣に泊まった。父が漁から戻ると迎えに来たほどだ。
 
 幼い子どもは少し年上の人のそばに居たがる。知らないことを教え、知らない世界に連れて行ってくれる。叔父や叔母はわたしが幼いときから映画に連れて行ったり、小樽や余市に出かけるときに誘ってくれた。こうして付いて歩くのが嬉しかった。
 
 60年が経った。ふるさとの丸山や崎の岩浜はなにも変わらない。ただ、港は大きくなったのに船の数は減って、カモメの数も少なくなった。それでもみんな静かに一所懸命暮らしている。法事を終えての食事のときはお互いに肩を抱き合いたい。