秋立ちぬ

  8月20日を祖母や母は二十日盆と言った。この日も必ずお寺に連れて行かれ、お盆最後の墓参りをした。祖母はその帰りに毎年、「二十日盆過ぎたら泳ぐのダメだよ」とわれわれ孫たちに言い聞かせた。この日を境に秋の風に変わり、海水も冷たくなるからだという。
 
 今日の午前中はそのとおり見事に涼しくなった。タンクトップを脱いでTシャツに着替えた。部屋の温度は28度だったが、小雨のせいもあってこれまでとはまったく異なる体感だった。年寄りの言うことはなぜか一理ある。天気情報では数日前から北海道は20度前半だ。
 
 思いついて第一体操を始めたが、すぐに分からなくなって適当に手足を伸ばした。まもなく疲れて止めた。息切れがして体力不足を痛感する。明日から少しずつ始めればいいさ、そう言い聞かせた。郷里の妹から律儀に法事の会計報告が届いた。お疲れさまでした。
 
 甲子園決勝戦を見終わって、選手たちの真剣でナニクソという顔が頼もしかった。勝った東海大相模も、負けた仙台育英も長い9回だった。十分に勝負の醍醐味を味合わせてくれた。優勝インタビューを聞かないで、テレビを切った。言葉を超えた厳しい試合だった。
 
秋立ちぬ 一人屈(こご)んで 爪を切る