「線状降水帯」

 鬼怒川堤防の決壊によって茨城、栃木両県などで大きな被害が出ている。「線状降水帯」なる言葉どおり、積乱雲は鬼怒川をさかのぼって豪雨をもたらした。被害の全容はまだ明らかになっていない。家や車を襲う濁流の渦は、あの3・11大津波を思わせた。恐ろしい光景だ。
 
娘は現在、つくばみらい市にいるが、数年前には常総市に住んでいた。親戚の一軒家を借りていて、二回ほど訪ねて行ったことがある。その家は小貝川の堤防のすぐ下にあった。常総市には鬼怒川と小貝川が流れ、小貝川もこれまで大規模水害を繰り返してきた。
 
昨日朝と午後に娘から電話で、「大丈夫」と連絡を受けていた。夜になって妻に電話があり、常総市の元の家周辺が冠水していると告げていた。今の家は水田地帯にあるが、もしも小貝川が氾濫すれば家や米に厳しい被害も考えられるという。小貝川も予想以上に大きな河川なのだ。
 
最近の台風は数も多いし、コースも以前と異なっている。とにかく降雨量が何十年に一回という記録つづきだ。亜熱帯化によるのか素人には分からないが、ウルトラ豪雨が甚大な被害をもたらしている。海水温が高いために台風のエネルギーが増幅されているともいう。
 
 かつては台風17,18号といえば九州上陸後に日本海に抜け、北海道にも甚大な被害を及ぼした。最近では、季節を問わず集中豪雨が全国各地で大きな被害を起こしている。「初めての経験だ」と被災老人が述べるたびに、当たり前だが、自然の脅威は人間の想定をいつも越えると身に染む。