Tさん、70歳の生き方

 朝8時過ぎ、中国・西安にいるはずのTさんから電話があった。「坂戸に来ているからお昼行こう」、「OKです」。二人で若葉の中華料理店で食事をし、北坂戸のケーキ屋さんでお茶を飲んだ。札幌のお兄さん夫妻に用事があって一週間ほど滞在して、坂戸に戻ったという。明後日にはまた西安に出発する。来年春には大学の中国語習得を終えて帰国する予定だ。
 
70歳になっちゃったよ」と笑ったが、まだエネルギーが残っている表情と風貌だ。帰国したらまた坂戸の外国人向け日本語講座で教えたい、と申し込みをしておいたという。「もちろんボランティアだよ。若い人たちと交流するのは楽しいし、自然に友だちになる場合もあるから」と話す。このように構えないで前向きに自分の生き方を実現していく姿は彼らしい。
 
 西安で学生生活を送っているが、春まで務めていた日本語学校の先生方と親しく付き合っているとのこと。アパートも近くに借りていろいろ相談したり、分からないことを教えてもらっているという。外国で一人暮らしをしていく上での一つの知恵だと安心した。彼は西安の下町近くに住んでいるが、この街は元々あの長安で、人口830万人強の巨大都市なのだ。
 
 彼から空海や阿倍仲麻呂の記念碑などの話を聞いた。「仲麻呂玄宗皇帝に仕え、ついに日本には戻らなかった」と語ったが、そのとき彼は何を考えていたのだろう。「春秋航空が日本全国でホテル展開するらしいが、航空料金が安く中国でもっとも人気がある。自分もいつもこの飛行機を使っている。中国人の文化からしてホテル事業は成功するのではないか」と述べた。