私の漢字=「飛」

  今年の漢字が「安」に決まったとか、年賀状の受付が始まったとのニュースが流れていく。さすがに12月半ばになれば世人の歩くスピードが上がってくる。医師も看護師も走る。彼らはほとんどがヨタヨタ歩きの老人患者の間をすり抜けて早足で移動していく。みんな歩くのが異常に早い。「超忙しいからそうみえる」らしい。
 
 私の今年の漢字は「飛」だ。夏に北海道でも酷暑に遇ってへたばったが、飛行機で行って来れたことが最大の収穫だった。日本海はいつもの色で輝いていた。波と風を記憶の袋に閉じ込めて帰ってきた。それだけでも十分行った意味がある。&、「言葉が飛んでて理解できない」と家族から苦情。「主語がない」、「突然すぎる」etc。
 
 郵便局の前を通るたびに年賀状の旗が目にさわる。何も準備していない。毎年「今年こそ早く済ませよう」と決意するのに、またダメだ。住所とあて名は手書きで出したいが、右手が言うことを聞いてくれるか。ヘナヘナ文字だと情けない? 宛名手書きが唯一のアイデンティティ。今朝の朝日「折々の言葉」では、それは上書きされていく。