サウジ・イラン国交断絶

 昔、OPECといえばサウジアラビアのヤマニ石油相の言動が注目された。当時、原油価格は高騰していて、OPEC総会での減産合意はさらに国際経済に波紋を呼んだ。今回のサウジ・イラン国交断絶が深化していく報道を見ていて、低落している原油価格にどんな影響が出てくるのだろう―。シリア、イエメン内戦に加えて中東はさらに混乱必死だ。
 
 2つの視点で推移を注視している。最初は文字通り原油価格の変動だ。サウジとイランが対立することで中東の緊迫感がさらに高まり、値上がりの方向に進むのか。サウジもイランも国交断絶を行うためには、その背後で支える国や石油企業と合意済みだろう。米ロを始めとする産油国が価格高騰による経済再生を狙っている。日本にも難問はじきに波及する。
 
 そもそもサウジが未だに王室支配体制を続けていることが不思議だ。その絶対的政治基盤は莫大なオイルマネーによる。国王、王子のサウジ政府はこれまで原油価格が下がってもあえて減産しなかった。しだいに国家財政的な逼迫感は否めない。さらに軍備強化も進めなければならない。国内格差も指摘されるが、王室支配に若干の亀裂が出てくるのかも?