「ルーティン」

 琴奨菊は立合い前の反り返る「ルーティン」(=琴バウアー)で優勝できた。優しい性格が災いして、これまでここ一番の勝負に弱かった。いつも体を痛めていて、サポーターや包帯で心身ともに土壇場の連続だった。ところが今場所はルーティンによる集中力が際立った。
 
 「琴バウアー」は今年の流行語第一号候補だ。もっとも春場所に大活躍して横綱になればの話だが。昨年の五郎丸歩選手の「五郎丸ポーズ」以来、一挙にルーティンに注目が集まった。個人的にはイチローの打席に入ってバットを伸ばし、袖に触れる流れが好きだ。
 
 かつて会社員新米の頃、「ルーティンワーク(日常業務)は上手くいって当たり前、スペシャルアクティビティ(特別活動)をどう組み込むかが勝負だ」と上司から叱咤された。最近はルーティンの意味の一部が特別扱いされ、パフォーマンスの一種になっている。映像時代の象徴の一つ。
 
 われわれ一般ピープルも其々のルーティンを持っている。一種のゲン担ぎで行っている場合も多い。規則正しい生活はルーティンによって成り立つ。自分は最近、その数が増え、かつ鈍間(のろま)になった。病院では自分の儀式をやり通してから治療を受ける。看護師さん、忙しいのにスミマセン!!