ローソク岩の顔崩壊

 凄いショックだ。郷土の誇りである積丹半島ローソク岩」の頭の部分が欠けた、と北海道新聞webが伝えている。以前は海上で雲に乗る観音様にみえたが、いまはただ先の尖った岩にしか見えない。高校時代に通学バスで毎日眺め、札幌、埼玉から帰郷するたびに「帰ってきたなあ」と一息吐いたものだ。最近はトンネルが多くて、少ししか見られない。
 
 昔の中央バス・潮見町停留場の豊浜寄りの海岸通りから、その威厳ある姿にいつも感嘆していた。沖合500メートルに突きでていて、その高さは40メートル。源義経積丹から北上して行ったので、思いを寄せたアイヌのピリカメノコが後を追い、海に身を投げた時にローソク岩に明かりが灯った。地元にはたしかそんな悲劇の伝説があった。

 この冬に崩落したらしい。岩も陸の断崖もこの一帯はもろい岩盤でできている。大地震や雪害で劣化して、ついにこの3月に先端が半分落ちたようだ。子どものころ、古平から余市までの定期船はローソク岩のすぐ側を通った。覗き込んだら青黒い深い海底から岩が大樹のようにそそり立っていた。あれから半世紀、人間も老いるが、風景も老いていく。