「東長崎」

 昼前に予定通り「孤独のグルメ(テレビ東京)を観た。なるべく見逃さないようにしている番組の一つだ。食欲という人間の力技がいかんなく画面に現れる。食べた料理がそのまま観ている自分のエネルギーになってくる不思議な番組だ。
 
 主人公・五郎は、「東長崎」の大衆食堂でウインナーのフライ、生姜焼き目玉丼などを完食した。五郎役・松重豊の表情と体つきがアップで映され、背景に店の古いお品書きの列が滲んでいる。このワンカットだけで東長崎の雰囲気を感じる。
 
 25年ほど前、自動車部品会社を経営するA社長が声をかけてくれて何回か東長崎に出かけた。Aさんは新規事業開拓をめざしていて、当時のベンチャーブームの実態をヒアリングされた。6、7歳上で営業一途に生きてきた人だと感じた。
 
 西武池袋線東長崎駅から徒歩5分に会社があった。仕事が終わると近所の焼鳥屋、スナックを回って池袋のバーに連れて行かれ、神楽坂の洒脱な小料理屋さんで締めた。自宅が神楽坂にあって泊まるよう勧められたが、会社に戻って寝た。
 
 豪快で繊細、人生の先輩として見習うべきところは多かった。この人はおそらくAB型かなと思った。孤独のグルメの松重さんもAB型のようだ。自分もその型。AB×ABの組み合わせはあんまり長く続かない。交流は3年ぐらいで自然消滅した。