グッバイJune

 昼過ぎに柳田邦男「壊れる日本人 再生編」(新潮文庫、2008年)を読了。この人の本はほぼ買ってすぐ読む。いま8年後の再読で、あらためて取材力の緻密さに驚いた。先に出版された「壊れる日本人」はゲーム漬け、テレビ漬けで青少年の心がゆがんでいく社会の深刻さに警鐘を鳴らした。異常な凶悪事件を予測し、不幸にもその通りになった。
 
 続編の「再生編」ではそんな過酷な社会の中で、言葉とこころ、言葉といのちの回復を試みる具体例を提示している。とりわけ「いくつになっても創める生き方」との考え方が、病いと直面している自分に新しい切り口を教えてくれた。
 
 午後からNHKプレミアム・映画「浪人街」を観る。黒木和雄監督で、マキノ正博監督「浪人街」(サイレント映画)のリメーク作品だ。原田芳雄勝新太郎田中邦衛などアクの強い猛者たちがこれでもかと演技している。1990年夏に公開された。まさにバブル経済のピークで、膨満した時代の中で濃厚カルチャーが巷にあふれていた。ハシャギの時代だった。
 
 いままた日本人のこころがゆがんでいく。自分のこころもゆがんでいく。そんなこころを超速情報がらせん状に巻き込んでいく。北極星を見つけておかないと、自分の位置がわからなくなる。ビジネス情報誌をめくりながら、そんなことを思った日。