捕鯨問題の新打開戦略

 捕鯨問題で久々に「確かに!!」と膝を打った。情報誌「エルネオス」7月号に「〝食料捕鯨〟に打開策はある、『勝利の見込みはない』と諦めている場合ではない」とあったからだ。IWC(国際捕鯨委員会)・日本代表は自ら負け戦だと消極発言をするばかりか、もう打つ手がないと嘆いている惨状。これまで40年、無残にも一方的な後ずさりを強いられてきた。
 
 打開策は、①鯨類の1年間に捕食する魚の量は約4億トン(*1)、②IWC科学委員会は南極海のミンク鯨は年間2,000頭の捕獲が可能とのリポートを出した、③世界には約9億の飢餓人口が発生している、④国際食糧農業機関(FAO)はIWC捕鯨禁止に反対している、などの点に注目する。これらを有効に組み合わせることで、新たな逆転の戦略は成立する。
 
その方策を世界の良識にアピールすれば、国際世論の好意的な反応が期待できる。キーポイントは、FAOをサポーターにつけること。FAOの大きな課題は将来の世界人口増に対するたんぱく食料の供給だからだ。日本が南極海のミンク鯨2,000頭だけを獲り、その半分を缶詰にしてFAOを通じてアジア・アフリカの飢えに苦しむ人々に供給する。
 
捕鯨問題が後退を余儀なくされてきたのは、国際世論に受け入れられる戦略を欠いていたことが最大の落ち度だった。世界の飢餓問題に具体的に貢献する〝食料捕鯨〟を打ち出すべきだ。今ふたたび国家覇権主義が横行している。領土も、食料も、エネルギーも奪い合いになる。わが国の食糧安保をまもる点からも強くアピールすべきだ。

*1  日本人が1年間に食べる魚の量は約9000万トン。鯨類の1/4。