網膜はく離

 オス猫のカールが、妻といま動物病院から戻った。「左目が網膜はく離でほとんど見えず、右目も神経が傷んでいて少ししか見えていない」と診断された。17歳で、病院の掲示ポスターでは人間換算84歳とあったそうだ。「仕方ないよね、でも元気だから大丈夫」(妻)。
 
 わたしは一昨日初めて気がついた。こっちをみているのに焦点が届いていない感じだった。高い所にのぼるときもゆったりそろりと手足を伸ばした。「カール、見えていないんじゃないか?」と聞いた。「そうなの!」と妻が答えた。わが家の一階はすでに高齢者社会だ。
 
 20年ほど前に左目の網膜はく離になった。見えにくいので、新しいメガネをつくったが、うまく合わなかった。そのうち視野が暗くなり、狭くなってきた。坂戸眼科に行ったら、「網膜はく離ですから、すぐ埼玉医大に行ってください」。雨の降る中、家まで暗い気持ちで歩いた。
 
「手術で100%回複することはありません」と医師から言われたが、完全に治った。講師が研究論文の資料にした。当時、ブルーコメッツ井上忠夫が治らず自殺して騒がれていた。自分の場合、幸運だった。カール、辛いだろうけどガンバッテ!! うんと優しくするからね。