“荻原節”で直木賞

  荻原浩「海の見える理髪店」が第155回直木賞を受賞した。選評を述べた宮部みゆき選考委員はこう語ったという。「委員によって、どの短編が良かったか意見が分かれるのが面白かった。ちょっとしたところにのぞくユーモアやペーソスという、荻原節は健在だという意見が多かった」(読売文化面)。
 
 荻原の本は一冊だけ読んだ。2階のNさんが貸してくれた「押入れのちよ」(2009年1月、新潮文庫)で、9編のホラー短編小説からなる。収録作品は、お母さまのロシアのスープ/コール/押入れのちよ/老猫/殺意のレシピ/介護の鬼/予期せぬ訪問者/木下闇/しんちゃんの自転車。
 
“荻原節”に強いインパクトを受けた。文章のテンポ、ストーリー展開の巧妙さは職人技だ。この人も多くの直木賞作家と同じく広告業界の出身。「介護の鬼」の読後感を3年前にこのブログで取り上げた。結末は、くわばらくわばら!!