「サヨナラダケガ人生ダ」

 糸井重里が昨日の「ほぼ日」で、「サヨナラだけが人生だ」と書き出している。寺山修司から知ったという。「その後、寺山修司のオリジナルでないとわかりました。『幕末太陽傳』を撮った川島雄三監督が言ったらしい、と」と続いている。
 
 糸井のことだから、この有名な言葉が、井伏鱒二による漢詩の口語訳の一句であることは書いていない。原文は会昌の放浪詩人・宇武陵(うぶりょう)の「勧酒」。
 
     君に勧む 金屈し         *金屈し: 柄のついた杯
     満酌 辞するを須(もち)いず
     花発(ひら)いて 風雨多し
     人生 足別離
 
 この詩を、井伏鱒二はこう訳した。寺山修司は名訳にほれていた。
 
     コノサカズキヲウケテクレ
     ドウゾナミナミツガシテオクレ
     ハナニアラシノタトエモアルゾ
     「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 人生は一期一会。友との出会いはかけがいのない大切なことなのだ。