「ふるさとは吹雪の中に」

   *音もなく雪が降ってくる。まっすぐ降ってくる。天気情報で北海道は大雪。積丹半島も風雪が強く、昼間も気温はマイナスだという。大地と海が雪を受けとめている。
 
「ふるさとは 吹雪の中に」(吉田一穂・よしだいっすい)。郷里・古平の自然が生んだ孤高の詩人、東京・三鷹に住んでいた。古平を想い、“白鳥古丹”と詠った。

*「空を染めていく この雪が静かに 海に積もりて 波を凍らせる 空を染めていく この雪が静かに 海を眠らせ 貴方を眠らせる―」
 
谷村新司・「群青」。自分がもっとも大事にしている曲かもしれない。利尻島沖で海に逝ったわが父にささげる鎮魂歌だ。この曲をフルオーケストラで歌い上げる谷村の声が届くと信じて、まぶたにさまざまなものが溢れる。
 
*雪はいまだ静かに降り落ちてくる。