口取り(和菓子)

 昨日まで「口取り(和菓子)」を食べていた。郷里の妹がクール便に入れてくれた積丹町美国の木村菓子店の品。練りきり菓子で、鯛、海老など縁起の良い形で餡(あん)が入っている。甘い。子どもの頃、おせち料理と一緒に大晦日に食べた。
 
 口取りの習慣は今でも続けていて、大晦日は妻が買ってくる和菓子を食べる。彼女はアンコ嫌いなのだが、綺麗なのを数個出してくれる。北海道の故郷では大晦日におせちをはじめ、ご馳走の大方を食べる。そのときの縁起物の一つだ。
 
 この口取りにも流行があったのか、落雁でつくった鯛や海老が並んだこともあった。ご馳走の食後に甘いお菓子が自分の文化になった。木村菓子店の口取り和菓子は60年前とまったく同じ味で、郷愁を感じながらありがたくいただいた。
 
 60年前の記憶がその甘さで呼び戻された。わが家も今はおせち料理は好きなものだけつくって、多くをスーパーで買い揃える。親が好むものを子が好み、孫も食べる。そのつながりに時代の変化が現れている。今朝は初セリ、今年も食べるぞ!!