梅見酔狂

 水戸偕楽園下でFくん姉夫妻が経営していた娯楽施設を同級生で訪ねたのはまだ40歳前後だった。川越のAくんが車を出してMくんと自分が乗っていったと思う。当時東京にいたKくんも電車で駆けつけて、我々の梅見酔狂は盛り上がり過ぎた。
 
 梅満開で街全体がその香りで包まれているほどで、人々が波のように階段を昇ったり下ったりしていた。桜花見と同じで飲んだり歌ったり、大きなスピーカーで案内の放送があったりで、とにかくみんな赤い顔で手拍子したり、馬鹿をやっていた。
 
 バブル全盛で景気が良かった時代だった。あれから30年間、それぞれ頑張ってやってきた。1991年バブル崩壊以後、景気は切ない低迷を続けた。贅沢を味わっただけに、経済の厳しさは身に沁みた。いま再び振り出しの位置にいる。
 
 世界が変り、日本が変った。弱肉強食、損得勘定が社会の核心になっている。バブルの頃、みんなで助け合いながら楽しんだ。いま社会は異相。若者たちに希望したい。お互いにもう一歩踏み込んで、たまに肩をたたき合ってほしい。