「こんなところに入れやがって」

 退院して10日、通院しながら自宅で休養、朝夕リハビリを継続。もっとも困難なのは立ち上がり動作。一ヶ月半におよぶ入院生活で腿筋肉が落ちていた。とくに前半のICUでの2週間は寝たきりですべてを看護師、ヘルパーさんがやってくれた。
 7月8日新築の東病棟3階に移転。ICUから送られてくる患者たちが収容され、緊急度の高いほどナースステーションに近い部屋。トイレは車椅子で。ステーションから二番目の4人部屋で、先客は皆八十後半。まさに高齢社会の実態。
窓側一人は寝たきりで口もきけず、その横は食事も摂らず関越道を一日中眺める。廊下側左の88歳はスタッフの言うことを聞かない。隙見て牢破りを試みる。点滴を抜いて血を流したり、ベッドから降りて座り込み、横のオレのテレビを見ていた。
いずれの方も口数は少なく、「はい、」と言いながら背を向ける。家族が来ると俄然良い子になる。奥様の子どもをあやすような言葉に必死で甘えている。ある一人は夜半本音を吐く、「あいつら、こんなところに入れやがって!?」。(怖い!!)
彼らとの一ヶ月間、会話は不成立。それにしても看護師、ヘルパーらスタッフの対応には驚いた。この病院には何回も入院したが、患者には何度でも諭す。昔はときどき叱っていたが、いまは無理をしない。病院の患者様気遣いは戦略的だ。