父を想う/2017旧盆

かつての知人0さんが「怠け者の節供(せっく)働き」とつぶやいていた。怠け者は人々が休むお正月やお盆にだけ張り切って働く、そんな意味だ。Oさんは銀座のクラブ活動に忙しく、普段は居眠り状態。それが一転した。周り一同は苦笑。
きょう17日は父親の月命日。北海道・江差町出身で、ニシン漁最後の世代だ。アリューシャン列島や樺太沖にも出漁した。時化(しけ)の話を聞く子どもたちに「丸山みたいな大波が来る」と手振りで答えた。海難事故で52歳の人生だった。
両親の古平町の墓を終い、美国の小高い永代供養塔に移して初盆だ。近所に住む妹が当面守る。共同供養塔ではなく、各家個別の供養塔から眼下に積丹の海が広がる。子ども4人協同の最後の仕事だった。このところ父のことを想っている。
 昔の男たちがそうだったように、父も器用で何でも自分でつくった。お正月もお盆も一日、二日休んでまた漁に出た。押入れや船室には「オール読物」、「小説現代」などが積んであった。ほんの安らぎの時に読んでいる姿を想像する。