カキの季節

 カキ料理のニュースを眺めながら、秋の入りを感じた。スーパーのチラシにも大きく写真入りで入荷を伝えている。牡蠣鍋には早いので、最寄駅前の小料理屋ランチでカキフライ定食を食べたい。この店のは大きくて滋養満載の味がする。
 上京して初めてカキを食べたのは新橋「酔心」店。内幸町交差点角の会社から徒歩3分で、先輩たちに連れられて行った。釜飯定食は思いのほか小振りのカキだった。一人の先輩が「今度、夜連れてくるから。もっと大きいぞ」と言った。
 10年後の出張で本場広島の「酔心」本店に。上司と何種類かのカキ料理を堪能した。若かったのでカキも酒も度が過ぎた。翌朝ロビーに現れた上司も自分も青ざめた顔をしていた。夕方には回復して酒盛りをした。そんな日々。
 郷土の積丹半島ではカキはあまり見なかった。そのせいかカキは上等な食べ物だ。シーズンに数回、カキを食うためにだけ顔を出す店もあった。カキフライも美味しい。酢ガキも焼いたのも旨い。11月にはカキの土手鍋が待っている。