9月17日、父と彼岸花

 「いま終わったから。果物ありがとう」。弟の大きな声が携帯から伝わってきた。きょう17日は父の命日。積丹町に移転・新設した久末家の供養塔に地元に住む妹と古平町の実家に住む弟が、お坊さんにお経を上げてもらった直後の報告だ。
 弟は長男のオレが埼玉に行ったので「自分と地元の妹で父母の墓を守る」と言ってきた。札幌の妹は「17日は行けない」とおととい日帰りで行ってきた。「お兄さんの分の果物はナシ3個、リンゴ2個でした」。積丹半島はもはや荒天模様だと。
 道路脇に咲く彼岸花が数と色彩を強めてきた。野生植物は刻(とき)を逃さない。時期が来たら咲き、毎年繰り返す。曼珠沙華とも呼ばれるこの花は確実に父の命日前後に開花する。春の彼岸に生まれ、秋の彼岸に亡くなった父を偲ぶ。
 隣町・日高市巾着田では曼珠沙華が見ごろを迎えた。かつて何回か行ったが車渋滞でエライ目に遇った。自宅近くの道端に咲く彼岸花を眺めながら、故郷の父母を懐かしむ。積丹の供養塔のそばにも彼岸花は咲いているだろうか。