ブリと落葉キノコ

 たった今、北海道・積丹町の妹から電話。「ブリと落葉キノコ送るから、土曜日に着きます」。義弟が刺身用と塩焼き用に捌(さば)いてくれた。ブリの季節に入った。キノコも義弟が早朝採って来たからおすそ分けとのこと。気持ちがうれしい。
 「味噌汁にポンと入れればいい、どうぞ」、「落葉(キノコ)の味噌汁、大、大好きだ」、「良かった」。北国の秋の豊穣が届くのを待つ楽しみが膨らむ。妹は弟からも「ブドウ送っておいてくれと頼まれているので、今日明日にも買いに行く」と。
 先週末から積丹半島は荒天続きで、天気図を見ながら心配していた。「台風、大丈夫か」、「構えていたけど、思ったほどではなかった」。義弟はまた仕事に行っているという。ウニの養殖事業の管理だ。弟もまた岩内の電気会社で働く。
 郷里の弟と妹は元気な声で電話してくる。「元気なうちは張り切って働くさ」、妹の声は弾んでいる。衰退していく町でも人々は力強く生きている。週末の食卓にはブリの刺身と落葉キノコの味噌汁が並ぶ。わが家の秋茗荷の酢漬けを添えて。