銀座キャバレー「白いバラ」閉店へ

 銀座の老舗キャバレー「白いバラ」が来年1月閉店へ。昨夜ネットでそう報じていた。昭和6年創業、86年間も続いてきた。エクステリアデザイナー・O先生(10歳年上)に誘われて3、4回行ったことがある。石原裕次郎小林旭が若かったころの映画で銀座のキャバレーがしばしば出た。そんな昭和の典型的キャバレー。
 派手な色彩とライトが眩しい店の二階席から下の舞台が見下ろせる。肩肘をソファーに眺める美女たちのダンスショー。生バンドの演奏が店内に充満して客を盛り上げた。同行したジャーナリスト・Sさんとノリ過ぎでステップを踏んだっけ。ちょび髭のOさんはホステスたちと談笑していた。もう30年も昔の話だ。
 数年前に有楽町線銀座一丁目駅で降りて、地上に出たら白いバラの看板が見えた。夜の派手に飾った入口も昼間は古本屋入口みたい。目立つ全国地図に各県出身のホステス名が掲示されていた。同郷ホステスと地元の方言で話せる、とあった。昔、北海道出身ホステスを呼んだが、話が合わなかった。ソンなもんだ。
 昭和の名物アナログ・キャバレーが消える。ネットで惜しむ声が飛んでいる。今度、元号が変るから昭和はさらに届かないほど遠くなる。2・26事件決起前に来店した若い兵士が、「明日の号外を楽しみに」と騒いだらしい。彼らは何県出身だったのか。同県人ホステスに会えたのか? そんなエピソードも消えていく。