東芝・テレビ「REGZA」

 「東芝がテレビ事業を中国・海信(ハイセンス)に売却。『東芝』、『REGZA(レグザ)』のブランドは引き継がれる」。このニュースをREGZAで観ていたので、苦笑せざるを得なかった。わが家の家電は6割程度が「東芝」。かつては9割強だった。
 坂戸に引っ越した時、近所の電器店は「東芝代理店」だった。以後40年余、東芝商品が家中を席巻してきた。昔は「サザエさん」も「東芝日曜劇場」も観ていた。いまは誰も観ない。東芝埋葬行進曲が日々のニュースで不気味に繰り返されている。
 当時勤めていた友人たちもみな引退していて、会社の話は聞こえてこない。かつてのエリートたちが息を殺して行く末を見守っている。JR浜松町に東芝口が正式開通し、あの仰ぎ臨んだ東芝の巨大ビルの威厳は今でも記憶に映っている。
 債務超過、引き際の美学、…。名門の威光もブロック崩しのように消滅していく。わが生活を支えてくれた一つひとつの商品を思い出す。TVリモコンのREGZAの文字はまだ黒い。薄紙できれいに拭いてあげた。いとおしい。