魚の干物届く

 札幌の妹からさっきお歳暮が届いた。ホッケ、カレイ、鮭の干物だった。少し前に電話があり、「これらから手配するけど、何か希望がありますか?」。「子どもの頃食べた郷里の匂いがするものがいい」、それで干物だった。
 
 幼い頃、わが家のおかずは毎日魚だった。父が獲ってくるホッケやスケソウダラなどを母が焼いたり、煮たりしておかずにした。積丹半島沖の漁場から季節ごとに上がる魚が子どもたちの体をつくりあげた。肉は特別な日にしか出なかった。
 
 父が獲ってきた魚をさばき、縄につるして干物にした。一夜干しは口に入れるとき、潮の香りがして食欲をそそった。カレーライスもほとんどはタコやシュリ貝(ムール貝)だった。中学生になった頃から豚肉や鶏肉が少しずつ登場した。
 
 中高時代に食べたものが一生の味覚を決める。それは父母や家族の記憶を呼び起こす。社会人なりたての頃、評論家の扇谷正造氏に言われた。妹からの贈り物はそんな昔のわが家の思い出をつれてきた。娘、息子家族におすそ分けする。