燻製の「蛸(たこ)とんび」

 「蛸とんび」が札幌の妹から年末届いた宅配便に入っていた。余市町・南保留太郎商店の燻製。余市高校同学年の南保くんが展開する燻製事業の商品だ。妹は以前、小樽駅の販売コーナーで見つけたと、鮭トバを送ってくれたことがある。
 蛸とんび、タコの口の部分だ。黒い歯は鳥の嘴(くちばし)にも見える。鳶(とび)の嘴にも、カラスの嘴にも。子どものころ年寄りの真似で「トンビコカラスコ」と呼んだ。母が茹でておやつになった。イカの口も同様で、小さいトンビコカラスコだった。
 黒光りの歯(牙)で魚はもちろん貝類まで噛み込むので、周りの肉は筋肉で丸く包まれている。弾力ある筋肉で、噛めば噛むほど蛸の旨味が出てくる。燻製なので旨味がさらに濃縮され、高い付加価値が付いた。噛みつづければ癒される。
 蛸とんびはビール、酒に合う。ツマミに最適。燻製への着眼が商品化を成功させた。ホームページを見たら、「ぺったら」という名でスケソウダラの味醂(みりん)干しの燻製もあった。これも昔の加工品を燻製で一ひねりした商品だ。