黙祷

 取手のKくんからメールが入っていた。故郷・余市町で開かれた「余市高校41会・古希祝い会」の報告。最後の行に「母が今朝亡くなりました。・・・」とある。きのう北海道から自宅に戻ったが、21日に母上を見舞い、手を握ってきたばかりだと。
 
 明日また札幌に行くとのこと。「母は天寿を全うしたと思っている。悔いはない」という。この一報を聞いて高校時代の冬の日を思い出した。吹雪の中でバス停に立っていると、目の前のKくん自宅からお母さんが出てきて室内に招いてくれた。
 
 「寒いでしょう、これを食べて温まってね」と湯気の立つラーメンをご馳走してくれた。高校生の自分にとってどれほどうれしかったか、今でもはっきり覚えている。バスが来て乗り込み、古平に向かった。この親切を父と母にきちんと報告した。
 
 母が亡くなる事は人生にとって最大の悲しみだ。人は誰もがこの試練と直面しなければならない。Kくんのメールを読みながら自分の母のことを思い出した。両親が亡くなってから、故郷に帰る元気が半減した。母も故郷も心の内にある、そう思う。