「淳ちゃん先生のこと」

 「若き渡辺淳一の短編、未発表2作」、「いずれも初期作品とみられ、後年の男女小説を書く萌芽を感じさせる」。今朝の読売新聞(31面)。近く出版される作品集に収録される。この記事から重金敦之氏ブログ「オンとオフの真ん真ん中」を思った。
 
 重金は「週刊朝日」時代に渡辺淳一を担当した。付き合い具合をブログの中で「淳ちゃん先生のこと」と綴ってきた。先日このブログは最終回となり、「淳ちゃん先生」も終わった。医師・渡辺が揺らぎながら作家として成功していく姿が浮上する。
 
 「化身」、「失楽園」、「愛の流刑地」と相次いで日本経済新聞文化面に連載された。ある会社の社長は「君はどこで読むの? 僕は社用車の中で読む。誰にも見られないから」と述べていた。ビジネスマンにあれほど話題になった小説も珍しい。
 
 日本橋小網町「喜代川」に某社長のお供でランチに行った。ウナギを待つ間に「化身」の話になった。「はい、二階に小説の舞台になった三畳間のお座敷があります」、女将は答えた。ヒロインにちなんで「霧子の間」と呼ばれているとか。
 
 渡辺は北海道上砂川町出身で、砂川市生まれの家人にとって地元出身有名人。この上砂川という町は倉本聰の「昨日、悲別(かなしべつ)で」の舞台にもなった。彼女は倉本聰脚本のテレビ番組はほとんどビデオに撮っている。