「呑み鉄・夕張支線」

 「鉄道は隣の町の空気を運んでくる」、番組の終りに六角精児がうまいことを言った。昼食後久しぶりにNHKBSプレミアムの「呑み鉄本線日本旅」を観た。今回は「石勝線」、夕張中心の旅だった。夕張支線は2019年に廃止される。
 
 この番組は土曜日昼下がりに半分まどろみながら眺めている。マイリラックスタイム。夕張駅手前の清水沢駅には2005年5月に行った。「シチズン夕張」の取材で。当時体調が悪化してきていて、最後の出張取材になった。それで記憶している。
 
 六角氏が栗山町の「北の錦」(小林酒造)を訪ねた部分で多くのことを知った。かつて夕張は炭鉱で栄えて人口11万人。炭鉱で働く人々がたくさん飲むのでいくら造っても足りなかったと蔵元が語っていた。一つの町の盛衰を見事に表わす。
 
 夕張駅前の屋台村の居酒屋夫婦が「清水沢にいたときは夕張に来る観光客や映画祭に集まる人たちは考えもしなかった」と述べていた。現在の人口は8,600人だが、地元の人は地に足をつけて生きている。過疎化の郷里を思いジーンときた。
 
 北海道の鉄道が次々と廃線されていく。車社会の発展によるものだが、この半世紀の世相の縮図でもある。生産性向上がもてはやされる時代だが、効率オンリーだけが上滑りしていく。「生産性」は本来人間らしさを追求する仕組みのはずだ。