蚊が飛べない

 かつて岡山・牛窓町(現・瀬戸内市)の医師を取材で訪れた。案内された古刹・本蓮寺本堂の太い柱には堂々した書体で漢詩が書かれていた。住職に聞いたら「江戸時代の朝鮮通信使牛窓港に寄った。寺に宿泊した時に書いた。『たくさんの蚊の飛ぶ音がうるさくて眠られない』の意味」。瀬戸内の湿っぽい夏に蚊は遠慮する。
 
 けさの「天声新語」に「あまり気温が高くなると蚊は飛べなくなる」と昨日・大暑の熱波記事。熊谷で41,1度、国内最高が観測された。坂戸もほぼ似た暑さだ。夕方指のつけ根が痒くてみたら虫に食われてた。人間に付いて室内に入り込んだに違いない。ウナクールをつけて沈めた。本蓮寺に除虫菊は置いていたのだろうか。
 
 中国・大蓮の幼馴染・Cちゃんから聞いた話。当時アラスカで日本向けの魚類を買い付けていた。「欠かせないのが蚊取線香だ」。?、聞き返した。「すごく大きな蚊が攻めてくる。蚊取線香はぜったい生活必需品だよ」。彼は笑った。こういう体験をしているから身も心も強いんだネ。もう一つは、白夜に眠るアイマスクだと。