「昭和の怪物 七つの謎」

 
 今回の入院中に一冊だけ本を読んだ。「昭和の怪物 七つの謎」(保阪正康講談社現代新書)。7月に出版されたばかりで息子に入手してもらった。昭和の怪物とは、東條英機石原莞爾、犬飼毅、渡辺和子、瀬島龍三吉田茂のこと。
 
 退院前の数日で読了したが、昭和の時代を改めて学んだ。保阪氏は緻密なインタビューにもとづき歴史秘話を詳細に解き明かしていく。たとえば瀬島氏が再度の取材を嫌ったほど執拗で核心を突く質問。ノンフィクションの雄の一人だ。
 
 いまだ自分の中で整理されていないが、昭和の日本がたどった道に彼らが大きくかかわっていた事実を再認識した。個々の言動を掘り起こして歴史の真相に挑む保阪氏の姿勢にも心打たれた。“保阪昭和史観”ガイド版とも言える一冊。