「鍋たのむ」

 「6 45」と打ち込んだあと「鍋たのむ」と入れ、家人にメールした。車で迎えに来てもらう時間と、夕食の希望だった。鍋は思いつきで入れた。テレビの画面におでんが映っていたからだ。急に鍋の湯気が頭の中に充満した。
 
 すでにそんな時期になっている。さて今晩の鍋は―鶏肉と鯛のアラに野菜がたっぷり入っていた。これか、イイね。鶏肉の味と鯛の旨みがグッ!コンビネーション。皿にとって味ポンで仕上げる。鍋物は今秋初めてで舌を震わせて体内に吸い込んだ。
 
 鶏肉もアラも安くて旨い。とくにアラは頭や喉下など上品な脂で包まれていて、わが家では鍋食材の一級品だ。ご飯を三口ほど残しておき、それにお汁をかける。ずずっと吸い込む。絶品、ごちそうさま。この片時だけは冷戦が一時停止になる。