日本敗戦の真相

 二冊の“日本敗戦記”を併読中。「日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実」(吉田裕著、中公新書)と「敗戦真相記―予告されていた平成日本の没落」(永野護、バジリコ)。大東亜戦争で無惨に叩きのめされた日本の内実を明らかにしている。いずれも高校同級生・I君の蔵書で、「参考までに」の付箋がついて小生に届いた。
 
 「日本軍兵士」。先の大戦での日本人犠牲者310万人の9割が敗戦濃厚の1944年以降の犠牲。その実態が餓死、海没死、自殺と“処置”、特攻のデータ。近現代史専門家の切り口は極めてリアルだ。異質な軍事思想による無惨な死。その根本的欠陥によると断定。人材(兵士)軽視のブラック企業(国家)は必ず破綻する。
 
 「敗戦真相記」。政財界で活躍した永野兄弟の長兄、渋沢栄一の秘書でもあった。「さる(昭和20年)9月に広島で行った講演速記を元に」本がまとめられたとある。敗戦の翌月に語られ、「なぜ負けたのか」を分析し高度な日本人論にもなっている。勝敗は科学的マネジメントの差。部分最適の戦略は戦局を混乱、悪化させる。