札幌・百合が原公園 with A先生

 いまA先生に会いたい。自分が半分“うつ状態”の時、まずA先生にお会いしたい。大学時代の恩師でさまざまな場面でお世話になった。と書けば、恩師などと余計なことを言ってと叱られる。そんなストレートなへそ曲がり先生だった。
 
 研究室に出入りして、影響を受けた。今でもなにか課題に立ち向かう時は「A先生ならなんと言うか、どう行うか」と自分に問いかけている。椅子の左側の書類箱には先生が亡くなったとき奥様から届いた手紙とメールのスクラップ帳がある。
 
 300通ほどの交信を先生が貼り付けてくれていた。ノートはお腹が膨らんでいた。手紙の無遠慮な問いかけに剣の達人みたいにかわされたり、滅多切りにされている。いつも先を歩き時には見えなくなった。「待ってください」、「聞こえない」。
 
 札幌の丸井今井で待ち合わせたとき、「百合が原公園に行こう!」と誘われた。ちょうど今時分の季節で百合はもちろん花々はみな咲き終わっていた。公園の通路を先生はどんどん進まれて、汗をかきながら付いていった。40分後に一周した。
 
 「埼玉に帰るの?」、「はい」、「じゃ北24条駅からバスで行きなさい」。遅い昼の焼肉屋で近況を話した。タバコを取りだして火を点けたら、「まだ吸ってんの!!」。あっという間に時間になった。バスから遠くなっても先生は停留所に立っていた。