「ごっこ汁」

 積丹町の妹に「ゴッコ(ほてい魚)」を頼んである。その積丹半島は連日厳寒、低気圧に襲われ続けだ。「父さん(義弟)が手に入れてくれるから。もう少し待ってて」。地元の漁師さんも日本海の大荒れにお手上げのようだ。今年はとくに厳しい荒天。
 
 埼玉からのわがままな注文に必死で対応してくれる妹夫婦には感謝している。ごっこ鍋は故郷の味の一つの象徴。手に入らなければ仕方ない。来年冬のまた頼む。ゴッコをめぐるやりとりで弟妹たちとの想い、郷里の匂いを楽しんでいる。
 
 下処理したゴッコ2、3尾の身と卵、肝がきれいに並べられて冷凍便で届く。このごっこ汁はmy soul foodだ。大袈裟だが、生きる力を与えてくれる。真冬の積丹半島からの便りに北国の春到来を祈る。「Aさん(義弟)、無理しなくてもいいからね」。