ごっこ鍋・カジカ汁、

 二月の不順な天候を引きずりながら、暦は春にかわった。熱望してきた3月1日に入った。このひと月体調が不安定でかなりストレスを溜めていた。どうにか克服できたのは故郷から数次届いた魚介類でのなべ料理だ。ごっこ鍋、カジカ味噌汁。

 下処理は妹がして送ってくれるので、鍋にすぐできる。厳寒の今が旬で、体と心をコラーゲン、ゼラチン質が旨い。ブツ切りのゴッコやカジカがパクパク口に入る。鍋から舞い上がる匂い、淡白ながら旨みの強い出汁(だし)。究極の美味!
 
 むかし子どものころ、老人が吹雪の中でゴッコとカジカを縄でつなげて引きずりながら歩いていた。我らガキどもは老人めがけて雪玉をなげて怒られた。電線の上からカラスがその様子を見ていた。あの老人は未来の自分だったかもしれない。