他人事でないのだ

 けさ、予約していた歯科医にTさんが付き添ってくれた。車で2、3分だが、家人が仕事なので“介護役”を務めてくれた。たいへん感謝している。現在、歯の治療中だが本日は噛み合わせの確認だけで数分で終った。ようやく終盤に入ってきた。
 
 Tさんが出口で靴をはいたら、「あっ、間違えられた」と声を出した。彼のと同じような靴だという。受付に行って説明した。我々が来てから帰っていったお客さんに連絡を始めた。患者2人と用事できた1人の計3人だがなかなか捕まらない。
 
 しばらくするとTさんの顔が不安げになった。「残っていた靴は自分も持っている。間違って履いてきたのかもしれない」。何々・・・。いずれにしてもTさんの連絡先を渡して、返事を待つことになった。ありうる話だなぁ、と他人事にそう思った。
 
 ココ壱でカレーランチを終えてわが家にもどった。玄関のカギがない。ひどく焦った。「Tさん、俺、カギ落とした」と叫んだ。蒸し暑くて腹が立った。Tさんが車の中を探して見つけてくれた。冷や汗が数回出た。二人は見詰め合って目礼を交わした。