首里城炎上

 きのう朝、テレビ画面が燃え上がる首里城を映していた。わけが分からず椅子に腰掛けた。あの紅色の正殿が真っ赤な火勢にウムもなく崩されていく。あぁ、惨(むご)い、恐ろしい。

 

 かつて沖縄・大手企業の取材を済ませて、首里城に向かった。はじめて正殿に向かい合ったとき、明らかに異質の文化を感じた。建物の真紅と空の青さが眩しくて、立ち尽くした。

 

 昔、琉球国王玉座から台湾や東南アジアからの交易船が港に出入りするのを眺めていたという。穏やかでスケールの大きな文化だ。入館して30分ほどして無意識の緊張感が解けていた。

 

 首里城の丘を下り始めたら、急に晴天が黒雲に覆われて突風・豪雨になった。倉庫らしき軒下に非難したが無駄だった。20分間、濡れ鼠状態。タクシー運転手「すぐ乾くよ、良くあることさ」。

 

 沖縄に新婚旅行に行っていた知人が「先週首里城に行ってきた。信じられない。見ておいて良かった」、日焼け顔で話した。燃え上がる炎の中に多くのウチナンシューの人影が走馬灯のようによぎった。