コラムは最近「余録」好み
毎日「余録」から―。
「東京・早稲田通りの早稲田駅前から南に向かう坂を夏目坂という。夏目漱石誕生之地という碑があるので「ああ文豪・漱石にちなんだ名か」と思っていたら、違っていた。それより前、漱石の父・直克が自分の名を坂につけたのだ▲坂だけではない。この辺を喜久井町というが、これも井桁に菊という夏目家の家紋から直克が作った名だと漱石は記している(「硝子戸の中」)。この地の「区長」をつとめていた父親は命名を誇りにしており、その「虚栄心」を若いころの漱石はうとんじたらしい▲まあ地名も、つけられた当時はこんな調子で勝手に命名されたものも多かったに違いない。だったら市の名も企業につけてもらえばいい……世人を仰天させた大阪府泉佐野市の命名権(ネーミングライツ)の売却案である」
この泉佐野市のことはテレビ、新聞が報道していたが、「余録」の筆者はさすがに滑らかに書き出していく。「上手いなあ!」と一人つぶやく。毎朝、「天声人語」をはじめ各紙の看板コラムを読んでいるが、このところ「余録」好みになっている。いつの間にか「余録」の筆者の世界に誘われてしまっている。ところで、わが市役所のロビーの高い位置にも大学や企業の広告が堂々と掲示されている。最初は違和感があったが、もう慣れてしまった。まさか市の名称の売却まではないだろう。とくに中国企業にはネ・・・。