新入社員たちへ

北海道新聞「卓上四季」が「新入社員に」こう伝えている。
学生生活を終えて社会人になる。人生の大きな転機のひとつであろう。でも、どんな職業に就いて新たなスタートを切るか。本人の予想しない偶然に支配されることも、そう珍しくはない▼紛失した学生証が駅に届けられていた。早速、受け取りに行くと助役が「国鉄に就職なさい。こんな出世の早いところは他にありませんよ」と勧誘する。青田買いする学生対象の高額な奨学金も魅力で…。JR東海葛西敬之(よしゆき)会長が、エッセーで自らの国鉄入りの経緯を書いていた・・・▼<やりたいはっきりした目標が他にあるのならば遠慮なく辞めるとよい。ここは面白くなさそうというだけなら続ける方がよい>。これは前出の葛西さんからの新入社員への「お節介(せっかい)」な助言だそう▼続きがあって、<ただ、いつでも辞めてやるという気持ちを持つことは精神安定上、常に有益である>」
 
また、4/1日曜日の朝日新聞全面広告「朝日求人」で内田樹(たつる)氏が「キャリアの扉にドアノブはない」と述べている(第一回目)。「『適職』は幻想である」とのタイトルがついていて、いまや売れっ子オピニオンリーダーになった内田氏の語りも葛西氏の言わんとしていることに重なっている。「自分の適性にあった仕事に就くべきだといわれているが、適職などというものが本当にあるのか、僕は懐疑的です」、「キャリアのドアにはドアノブがついていないというのが僕の持論です。キャリアのドアは自分であけるものではありません。向こうから開くのを待つものです。そして、ドアが開いたら、ためらわずそこに踏み込む」、「仕事をするとは、自分がいったい何を持っているかを発見するプロセスなのです」
 
自らの就職もそのあとの足取りもそんな不可思議な連続であった。たぶん多くの人たちがそうだろう!!