菜の花忌シンポジウム

311後のこの国のかたち/第16回菜の花忌シンポジウム」が先週の土曜日(3/31)午後、NHK・Eテレで放映された。作家司馬遼太郎の命日に合わせて毎年開かれるシンポジウムで、16回目の今年は東北地方にゆかりのある有識者東日本大震災後の日本のこれからについて語った。四人のパネリストは、玄侑宗久(作家)、高橋克彦(作家)、赤坂憲雄学習院大学教授)、佐野眞一(ノンフィクション作家)であった。
玄侑氏は福島県三春町福聚寺住職で東日本大震災復興構想会議委員。高橋氏は盛岡在住。赤坂氏は「東北学」提唱者で東日本大震災復興構想会議委員。佐野氏はいち早く現地に入って取材を続けている。
 
四人の発言から3点ほど書きとどめておく。
 
(1)「司馬氏は『この国のかたち』と言ったとき、最初は土という字を(くに)と書こうとしていた」と赤坂氏が述べた。国のかたちとはその土地であり、そこに住む人々であり、そしてそれら共同体のすべてなのだということを、全員が強調した。
(2)東北は日本の歴史の折り目折り目に大きな役割を果たしてきた。その一つは金の産出が豊かであったことがあげられ、時々の中央政府がこれを使って歴史の局面を打開してきた。司馬氏は「東北は偉大なのである」と「街道をゆく」のなかで述べている。
(3)「3・11とその後」を宮沢賢治や、井上ひさしならばどう書くのか――そうしたことを思う。厳しく辛い環境の中で、少しずつ新しい芽生えが被災した人々から見られるようになってきた。現地の生の声を『聞き取る』作業を緻密に続けていくことだ。ここからしか前に進む新たな動きは生まれてこない。