トキのひな誕生

今朝の朝刊各紙は、「放鳥トキ、ひな誕生」を大きく取り上げている。「放鳥したトキからひなが孵ったのは初めてである。佐渡市内には現在、放鳥されたトキが40羽以上生息し、うち15組がペアを形成している。繁殖期が6月まで続くことから、今後もひなが誕生する可能性がある」(朝日)。
 
長年、期待されていた「国の天然記念物トキのひな」が自然界では36年ぶりに誕生したことで、関係者や佐渡市の人々の喜び具合が伝わってくる。今日のような混沌とした社会の中で、久方ぶりの明るいニュースとしてしばらく報道され続けるだろう。
 
このニュースを聞いて、三井物産の「カルガモ」を思い出した。1984年以降、数年間にわたって東京都千代田区大手町にある同社のプラザ池から皇居和田倉堀へ引っ越す親子の姿をメディアが取り上げ、ブームとなった。
 
当時、自分は三井物産の社内テレビ・キャスターが読む原稿書きの仕事をしていて、この第一報に関わった。広報のメンバー全員が手分けして鳥を撮影し、野鳥の会に問い合わせ、カルガモについて資料室で調べ、速報で放映した。その画像がマスコミ記者の目に留まり、各社一斉の報道につながったのであった。あのカルガモの卵の孵化と、親子での皇居お堀までの可愛らしい行進が、世の中を和ませたものだった。わが国経済が最高潮を迎えていた時期であった。