「寅さんの伝言」

朝日新聞「首都圏面」で日曜日に掲載されている「寅さんの伝言」が楽しみだ。大衆文化担当・小泉信一記者が書いている。昨年43日に連載が開始されているので、すでに一年以上続く。一回目は山田洋次監督で、それ以降マドンナたち、身内などを演じた役者に小泉記者がインタビュー、記事にしている。
 
今日は渥美清の付き人だった石井愃一(いしいけんいち)さんの  。渥美は自宅と別に、代官山の東急アパートを仕事場にしていた。こんなことを語っていたという。「芝居やっててね、扶養家族がチラチラ現れたらいけないと思うな」、「精神を、いつも鉛筆の先のようにとがらせておく。だからひとりでいたいんだよ」。
 
10畳ほどの1DK。ベッドわきには新刊本がいつも置いてあり、冷蔵庫には飲み物ぐらいしか入っていなかった。「洗濯物は下着を含めて全部クリーニング店に出してしまう。徹底していました」(石井の言葉)。新聞や週刊誌の切り抜きは業者に依頼。まとめてアパートに郵送してもらっていた。「何が書かれているのかアンテナを張っていました」(〃)。
 
自由人だった。45歳のころこんな句を残している。〈山吹キイロひまわりキイロたくわんキイロで生きるたのしさ〉。自ら演じたかった山頭火や放哉(ほうさい・尾崎放哉)を思い起こさせる自由律の句。黄色は渥美が好きな色だったという。石井はで、渥美が「役者は孤独。本質的にね」と言っていたという。
 
そうか! みんな読んでいるんだ、この朝日の記事。でも、いいや!!
「困ったことがあったら、風に向かって俺の名前を呼べ」(寅さんが満男に語った言葉)。ここまで―。