オランド氏「私は普通の人」

   「国民よ、大統領にしてくれてありがとう」――これまで表舞台に立つことのなかったフランソワ・オランド氏がサルコジ政権への逆風に乗って勝利した。1988年、国民議会(下院)に初当選。閣僚には一度も起用されたことがない。
 
 「あだ名は『森の木いちご』。目立たず小粒という皮肉だ。立場があいまいだとして『プリン』にも例えられた。その一方、『常に相手の話にうなずきながら、首をじわじわ絞める』(ル・モンド紙)手法で政敵を排除してきた」/読売新聞(5/7
 
 「フランス国民は国王の風格を備えた大統領を潜在的に求めてきたが、15日に就任するオランド氏は『私は普通の人』と訴えて当選した。前代未聞のことだ。『フランスは偉大な国である』という幻想が捨てられた初めての大統領選だ。オランド氏ほど『大統領は救世主』という神話から遠い人物はいない」(政治学者ジャン・ガリッグ氏)。ドゴール元大統領はかつて265種類ものチーズのある国を普通のやり方では結束させられない』と発言した。オランド号の航海は容易ではない」/読売「ワールドビュー」(5/13
 
 「新政権が景気浮揚を請け負うのはよいが、減税も公共事業も、持続性がなければ民間需要は追随できない。しかし今日の欧州にはそれだけの余力はない。フランスはオランド政権で時間を稼ぐことができるが、もともと景気と財政規律は二律背反の面がある。それが判明するとき、欧州の債務危機が再燃する。そのとき当局にはどんな武器が残されているのか」/朝日「経済気象台」(5/12
 
 オランド氏は、フランス国立行政学院ENA)を7番目の成績で卒業、会計監査院の検査官になった。仏現代思想の一翼を担うジャック・アタリ氏などの後押しで、ミッテラン政権の参事官となった。ミッテラン大統領のブレーンであったアタリ氏は経済成長論者で、欧州規模の大事業を行うことを提唱している。アタリ氏がオランド新大統領の重要ブレーンとして登用されるのはまず間違いないだろう。