「高峰秀子の言葉」
▼トキというと女優高峰秀子さんのどきりとする言葉を思い出す。中国から繁殖用にトキが贈られたと聞き、こう言った。「どうすんだ、そんなにトキを増やして。カモ南蛮の次はトキ南蛮でも食べるのか。わざわざ連れてこなくていいんだ。死ぬときゃ、死ぬんだよ」(斎藤明美「高峰秀子の捨てられない荷物」)▼すべてに厳しかった高峰さんらしいが、それでも、トキがむやみに命を奪われて続けてきたことは認めてくれるだろう。
最後のフレーズを読んで、高峰秀子はそのようなことは百も承知で「死ぬときゃ、死ぬんだよ」と述べていたのではないかと思った。斎藤明美氏は新潮社の図書PR誌「波」に「高峰秀子の言葉」を連載してきたが、この中で高峰を「何事にも確固たる人だった。確固たるものは、一朝一夕では生まれないし、身につかない」と述べている。
「高峰秀子の言葉」からいくつか『厳しい言葉』を書き留めておく。「言ってわかる人は言わなくてもわかる」(第三回)、「他人(ひと)の時間を奪うことは罪悪です」(第四回)、「他人(ひと)に食わしてもらったなんて、一年もないッ」(第七回)、「人を見たら敵だと思いなさい!」(第八回)~小生はまことに真実な言葉だと思うけど~。