高齢者の胃ろうと透析の方向

   今朝の朝日1面に「老年医学会、胃ろうの手順整備~人工栄養中止、医師2割経験」とある。朝日新聞と日本老年医学会の共同調査でわかった。同学会は27日、胃ろうなどの開始や中止までの手順などを盛り込んだ指針を公表する。
 
記事には「胃ろうは介護する側が栄養補給の管理がしやすいことから、回復の見込みや患者・家族の事情を考慮せずに着けることが広がった。このため、意識もないまま、寝たきり状態が長く続く高齢者も増えた。厚生省調査では、胃ろうにした認知症の高齢者約1千人の半数が、847日以上、生存していた」とある。
 
読売2面には「終末期の患者、透析は家族同意で中止も」と報じている。日本透析医学会が23日、同学会総会で提言をまとめた。国内には現在約30万人の透析患者がいるが、70歳以上での開始が約半数と高齢化している。同学会が作業チームを設けて、導入や継続を見合わせる際の具体的な手順について検討してきた。
 
記事は「医学的理由から安全に行うことができない場合だけでなく、判断能力がある患者が自ら透析を拒否した場合や、自分では判断能力がない終末期患者でも家族が拒否した場合は、見合わせや中止を提案し、同意を得て行うこともあるとした」と述べている。 
 
胃ろうも透析も中止すれば直接生死にかかわる。2つの記事を読んでいると、今後の終末医療の方向がおよそ推測できる。末期高齢者は無理に命を長らえることはないと読み取れる。2つの課題は今後、法的および生命倫理的な観点から大きな論議を引き起こすだろう。当然、そうした検討が十分に行われるべきだ。